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お薬の相互作用って、何ですか・・・? | |||
薬の相互作用とは、薬と薬の飲み合わせのことで、薬が効きすぎて副作用が出やすく なったり、逆に薬が効かなくなったりすることです。 また、薬と薬だけでなく、薬と食べ物や飲み物、嗜好品などでも、薬の作用が強く なったり弱くなったりすることもあります。 |
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Q | 薬の飲み合わせによる副作用を防ぐには? | ||
A | 複数の病院の医師から薬が処方される場合に、全く同じ薬がだぶって 出れば、患者さんもわかると思います。 しかし、医療用医薬品には、内服薬だけでも1万品以上ありますので、 同じ効果で、名前の違う薬がだぶって出ても、見た目だけではとても わかりません。 また、全く同じ成分、含量の薬なのに、たくさんの製薬会社が別の商品名で 売っている薬もたくさんあります。当然、見た目のデザインは違ったものに なります。もらった薬を見た目で判断することはできないし、無意味な ことにもなります。 |
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また、お薬の飲み合わせによる副作用は、全く予想もつかない薬どうしの 組み合わせで起こることも多いので、専門的な知識が必要になります。 複数の医師にかかるときは、一方で出ている薬を他の医師に見せるなり、 薬の名前や効能などが書かれた用紙や『おくすり手帳』をもらっていれば それを見せるなりしていただくと良いと思います。 「心配だな」と思ったら、医師や薬剤師に、一緒に飲んでも大丈夫か 聞いて下さい。 |
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お薬の飲み合わせによる副作用では、様々な程度のものがありますが、 絶対に一緒に服用してはいけないケース(禁忌)と、注意をした上で一緒に 飲む(一緒に飲まざるを得ない)場合とがあります。 お薬の飲み合わせによる副作用により、薬の作用が出過ぎるか、 弱まることがあるかもしれないという可能性があっても、承知の上で、 処方される場合もあります。 |
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Q | タバコを吸うと薬が効かなくなる? | ||
A | 薬が体に入ると、肝臓で代謝(薬の形を少し変えて、腎臓から排泄される ようにすること)されて、体からなくなっていきます。 肝臓で代謝するときの一番の働き者が、薬物代謝酵素です。 |
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タバコを吸っていると、喘息の薬(気管支拡張剤)のテオフィリンなどでは、 薬を多く飲まないと効かなくなります。 喫煙は薬物代謝酵素をたくさん出す物質なのです。 そのため薬が体から速く排泄されるようになり、薬が効かなくなります。 |
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逆に、同じ量の薬を飲んだままの状態で、突然禁煙すると、本当なら そんなにたくさんの薬がいらない状態なのに、多い薬を飲んだままに なるので、テオフィリンの中毒症状が現れることがあります。 テオフィリンを飲んでいて、タバコを吸っていてる方が(これ自体 好ましくない事ですが)、禁煙したり、タバコの量を減らしたら、必ず 医師にそのことはお話し下さい。せっかく、タバコを止めたり減らしたのに、 中毒症状が出たら、残念ですし、また薬の量が減らせるかもしれません。 |
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Q | お酒と薬の関係は? | ||
A | お酒は血液の循環を良くするため、薬の作用が強く現われるとされています。 また、中枢神経を抑制する作用もあるので、同じ作用を持つ薬、特に催眠剤や 精神安定剤では危険なこともあります。 ただ、薬を飲んでいるからお酒は全て禁止とすると、無理な方もいるでしょう し、人生がつまらなくなってしまう方もいるでしょう。 飲んでいる薬や病気の状態にもよりますので、医師に良く相談をしてみましょ う。 先に述べたように、中枢神経を抑制する作用がある薬は、お酒と一緒に飲む 場合に、薬とお酒のお互いの中枢神経抑制作用が強まり、注意が必要です。 また、お酒により薬の作用が強まる薬も危険です。 主な例として、睡眠薬、精神安定剤、抗うつ剤、精神分裂病治療剤、 鎮痛剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、血糖降下剤などは、飲み合わせに よる副作用の危険性があります。 |
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Q | 牛乳と薬の関係は? | ||
A | 抗生物質のうち、テトラサイクリン系とニューキノロン系のものは、牛乳中の カルシウムとで、吸収が阻害されることが知られています。 ただ、薬によりあまり影響がないものもあるので、必ずしも併用禁止とは 限りません。少なくても薬を飲んだ後2時間あければ影響ありません。 骨粗鬆症の薬のダイドロネルは、食物、特に牛乳や乳製品のような 高カルシウム食や、カルシウム、鉄、マグネシウム、アルミニウムの ような金属を多く含むミネラル入りビタミン剤又は制酸剤等は投与前後 2時間以内は摂取及び服用を避けるように注意が必要です。 制酸剤の中には、ミルク−アルカリシンドロームといい、大量の牛乳と 一緒に飲むと高カルシウム血症が起こり、血中の尿素・窒素が多く なって吐き気や食欲不振などを起こすことがあります。 以上のように、牛乳と組み合わせが悪い薬剤もありますが、逆に、 消炎鎮痛剤など、胃を荒らしやすい薬を飲む場合に、胃を守るために、 牛乳などで服用することがすすめられる場合もあります。 |
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Q | グレープフルーツジュースで血圧の薬が効きすぎる? | ||
A | グレープフルーツジュースを一緒に飲むと血圧の薬の血中濃度が上昇し、 作用が増強されることがあります。 グレープフルーツジュースとの服用、という言われ方をしますが、実験が みなジュースにより行われているためで、グレープフルーツについても グレープフルーツジュースと同様に食べ合わせによる副作用を考えるべきで しょう。 もし、グレープフルーツジュースを飲んだり、グレープフルーツを食べたり する機会がある方で、心配な方は、薬剤師に相談をして下さい。 |
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Q | ワーファリンと納豆の関係は? | ||
A | ワーファリンを飲んでいる場合、影響があると考えられている食べ物に、 納豆、緑色野菜、果物があります。特に注意が必要なのは納豆です。 ワーファリンは、ビタミンKの拮抗物質です。ビタミンKは出血の時、 血を止めるのに必要なビタミンです。ワーファリンはビタミンKに 拮抗して血液を固まりにくくする薬です。 ですから、ビタミンKを一緒にとると、ワーファリンの効果が減弱します。 納豆は、ビタミンKの含有量より、ビタミンKを産生する納豆菌が 含まれているため、納豆が食生活上必須なものでないので、 通常ワーファリンを飲んでいる方は避けていただいています。 一方、緑色野菜や果物は食生活上必要なものなので、一時的な 大量摂取をしないようにして、1日の摂取量をコンスタントな量にして 下さい。 ワーファリンは非常に慎重に投与量を決めている薬剤でありながら、 他の薬との相互作用も非常に多い薬です。 別の疾患で他の医師にかかる場合には、必ずワーファリンを飲んでいる ことを話して下さい。街の薬局で薬を買うときも、ワーファリンを 処方している医師に前もって確認の上、薬を飲むようにして下さい。 特に、新たに薬を追加して飲む場合には、血液の固まり易さが変わる 可能性があります。 |